総務省統計局のデータによると、1970年に733万人だった65歳以上の数が、2021年には3640万人まで増加しました。このように、高齢化が進むにつれて問題視されるものの1つに認知症があります。

実際、厚生労働省老健局は令和元年に、日本の65歳以上の高齢者の中に認知症の人は2020年時点で602万人いると発表しました。この結果から、日本の65歳以上の人は6人に1人の割合いで認知症になっていることがうかがえます。

今後も増加することが予想される認知症に対しては一人一人が理解を深め、効果的な予防法や治療法に期待したいものです。

認知症は今のところ完治することが不可能なため、病気の進行をなるべく遅らせることが治療の目的です。その治療法として、薬を投与する薬物療法のほかにも注目が集まっているのが、薬を使用しない非薬物療法です。

運動やレクリエーションを通して認知機能を維持させることを目的とし、昼間に活動することで夜の睡眠にもつなげようとするものです。そうした非薬物療法の1つに音楽療法があり、そこで活躍するのが音楽療法士という職業です。

音楽療法士の資格は通学や通信教育によって取得できますが、働くために必須ではありません。また、資格がまだ民間資格ということもあり、正社員や常勤での募集は少なく、専任で働いている人も少ないのが現状です。

しかし、医療や介護の従事者などは、音楽療法士の資格を取得することで大きなスキルアップが期待できます。作業療法士などのリハビリ職を目指す人は、音楽療法士の資格取得も考えると良いでしょう。